椅子を指さして、これは何？と聞けば大多数の人は「椅子」と答えると思います。「円柱に削られた4本の木材に支えられた木の板です」と答える人は稀かもしれません。時間とともに創り出された概念が定着し、いつしかアイデンティティー(愛着や執着)が伴い大切なものへと変わってゆくものとの距離感。

特に愛着や、ある事が当たり前と感じていたものが突然姿を消した時、その存在感の大きさや有難みを思い知らされる事があります。

先日。
お孫さんのお食い初めのお祝いにと帰郷した親友に会う機会がありました。懐かしい気持ちで高校時代よく食べに行っていたお好み焼き屋さんに立ち寄ると改築オープンされていて、真新しい店で懐かしい味を二人で堪能する事ができました。可愛らしいお孫ちゃんの話に花が咲き、心身ともに充足した想いで帰宅。

その時、ふと自宅玄関で何気に免許証が気になりパスケースを開くと…免許証が無いことに気が付きました。

気になるところ全てに電話をし家中を捜索したのは土曜日。
日曜日は警察署に届け出を出し、月曜日の勤務が気がかりなまま浮かない気持ちで主人と外出。
月曜日。たまたま休みだった娘の朝早い送迎のお陰で一番に免許更新の手続きを終え、午後の仕事にも支障なく出勤できることができました。ようやく、ホッと一息。

概念が定着したものにアイデンティティを感じるように、免許証、パスポート、保険証など自分を証明するものには思いがけない力があるように感じます。
これを提示すれば、私という事が証明できる…。
私を代弁する力がそこにあると考えると、失ったときの何とも言えない喪失感にも納得がいきます。

振り返れば…。
あの日は
お孫さんの成長の節目。
久しぶりの再開、人生の節目。
昔なじみの店、リニューアル開店。
と、様々に変化に飛んだ一日だったように思います。
そして免許証の紛失…。

新しい免許での一日を送りながら、その日が終わろうとする頃。娘からLINEで免許証発見の動画が送られてきました。「下駄箱の下から発見！」
えぇ！？

どんなに探してもいなくて
仕方ないからあきらめて
免許更新し終わって
それが終わったと思ったらあっさり出てくるなんて…ん〜

免許証はそれまでの私を何年間も証明してくれていた存在「今までの私」を一旦手放して、過去に蓄積したエネルギーをリセットして、人生の節目を新たな気持ちで迎えて欲しいと現れてくれたのでしょうか。

警察署で古い免許証を手渡す瞬間、ボヤッとした顔で印刷されていた私の写真が一瞬、穏やかに笑っていたように見えました。

日常に起こるささやかな出来事。
「なにかな？」
と、気になることをなんとなく心に留めておくと、後々「あ、こんなことに」という出会いにつながることもよくある話。

素直な感性と直感と向き合う時間を楽しんでみると日々共感する言葉や概念の中に思いがけない発見があるかもしれません。

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上下の写真は、
Instagramでも活躍中の@sumie.pan の
ＳumieＰan教室にて手捏ねパンに挑戦させていただいた練乳たっぷりのミルクパンです。

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パンの焼き上がる香ばしく甘い香りと、
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食いしん坊、パン好きさんには、
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